学校における医療的ケア看護の要点

「学校における医療的ケア」についてお話します。

あまりなじみのない言葉ですが今後、看護の時代には、とても重要になってくる分野です。

興味のある方、ない方も、頭の片隅でもよいので、どうぞお気軽に読んでみてください。

 

  • 医療的ケアとは、気管切開部の衛生管理・導尿などの医療行為を指す。医療技術や在宅医療の進展、従来は医療機関で行われてきた「医行為」を本人や家族などが自宅において日常的な介護として行うようになっている。病院から在宅生活への移行の中で、家族などが在宅で行う行為を医療者は医療的ケアと呼ぶことが多いです。つまり、医療的ケアという言葉は、医療現場で定義されていないが日常生活に必要な医療的な生活援助行為全体を習慣的に指して理解していることが多いです。 

 

 

 定義 

   医療的ケアとは児童生徒の在校時間内において、日常的、継続的に行われている、痰の

   吸引、経管栄養、気管切開部の衛生管理、導尿等の医行為を指し、病気からの回復期な

   ど一時的に行う医行為、緊急時のみ行う医行為及び治療を目的とする医行為でないも

   のをいいます。ただし、本人が実施できる場合を除きます。

 

  • 医療的ケアを特別支援学校・学校で行う意義

     ★医療的ケアが必要な児童生徒の通学が可能になる。

  1. 食事、排泄、呼吸など的確な健康状態の把握や医療的ケアへの対応で生活リズム・生活習慣が確立され、子どもの欠席日数や事故が減るなど学校生活の基盤を充実できる。
  2. 安全な医療的ケアを受けることに3より安心が生まれ、より充実した教育を受けることができる。
  3. 生徒児童が教職員や看護師から「医療的ケア」を受けることにより、信頼関係が促進される。
  4. 保護者から離れて、教職員や看護師から「医療的ケア」を受けることにより、児童生徒の社会的自立が促進される。
  5. 「医療的ケア」のために、常に付き添わなければならない保護者の負担を軽減できる。学校において、「医療的ケア」を実施することにより、児童生徒にとってはもちろんのこと、保護者にとっても、教育する教論にとっても、安全で安心な教育環境が整い、看護師として良い教育に貢献できる。  

 

     ・特別支援学校において認定特定行為 業務従事者となる者は、医療安全

   を確実に確保するために、対象となる特定の児童生徒等の障害の状態な

   どを把握し、信頼関係が築かれている必要があることから、特定の児童

   生徒等との関係性が十分ある教員が望ましいことです。また、教員以外の者

   について、例えば、同様の関係性十分認められる介助員などの介護職員

   が担当することも重要です。

 

 

・学校における医療的ケアの内容(学校看護師が実施する医療的ケア)

    1. 痰の吸引
    2. 経管栄養
    3. 気管切開部の衛生管理
    4. 導尿
    5. その他医療的ケア支援委員会において実施可能であることを確認した 
    6.  
    7. 医行為(血糖値測定及びインスリンの薬物投与、酸素療法、人工呼吸器の管理など)

・ 医療的ケアは保護者または看護師が実施するが学級担任ができることは以下の通りである

・経管栄養の準備(スタンド・イリゲーター設置、必要な児童生徒の経管栄養剤の温め、児童生徒の姿勢を整える等)

・経管栄養中の健康観察・物品の後片付け

・胃ろうガーゼの取り外し(プールに入る時等)

・人口鼻が外れかかっている場合の付け直し

・吸入の介助(吸入器の把持、片付け)

・導尿の介助(必要物品の準備、片付け、体位の保持等)

・酸素療法(酸素濃縮機と酸素ボンベの接続つなぎ換え)など

 ※体調変化時に酸素流量を変えるのは看護師施行です

 

※学級担任が行える行為は、医行為でない生活援助行為に限られます

 

  

 

 ・看護師の責務とは

  ①看護ケアを状況に応じて正確に判断し、その判断に基づき実践ができ、実践結果を振り

    返り評価できること。

  ②状況の判断から実施結果の評価までの一連の過程で、児童生徒の健康問題に対する実

   践は、限りなく安全でかつ安楽であること。

  ③教育者が児童生徒と家族を支えて教育実践に責任が持てるように協力すること。

 

 

・ 事故を予防する

生命に影響を及ぼさず、健康障害の予防、健康の維持・回復・改善を促  すために、看護師は適切な観察、情報交換、連携を行って適切にアセスメントし、教員と協働して実施する。

事故の予防のために、子どもの状態把握や、適切なケア方法を共有することが大切です。まずは、緊急事態に至らないよう、日ごろの丁寧なアセスメントにより、また、教論と綿密にコミュニケーションをとって協力し合い、子どもの状態を緊急事態に至らせないよう予防する視点を持つことが重要です。子どもの身体状態の変化は、前後の状況との関連が大きい。子どもの状態を記録する際は、状況が分かるようにする。保護者と了解したケアの範囲で、子どもの状態にあった個別的なケアの向上に努めます。日ごろの日常生活の様子を十分に観察し把握したうえで、異常の早期発見に努める必要があります。

 

以上の内容から、学校における医療分野の必要性が、とても重要になってくることが分かるのではないかと思います。

命の重みは、一人ひとり、はかることはできません。

しかし、障がいがあっても、その子らしく、輝くことができるように精いっぱい、周囲の力を注ぎ、より、輝いた人生が送れるよう携わりたいと考えています。

 

貴重なお時間で、お読みくださり、ありがとうございました。 お疲れ様でした